2010年6月4日金曜日

20100616@神戸大学

神戸人類学研究会(旧社会人類学研究会)2010年度第三回研究会

下記のとおり開催します。
事前の予約は不要ですので、皆様、ふるってご参加下さい。

なお、当研究会は、神戸大学大学院国際文化学研究科の文化人類学コースとアジア・太平洋コースの合同で開催しています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

◎当研究会のホームページアドレス
http://web.cla.kobe-u.ac.jp/group/kobe-anthro/


日時:2010年6月16日(水曜日)17時~19時(予定)

場所:神戸大学 国際文化学研究科 E棟 4F学術交流ルーム

※徒歩:阪急「六甲」駅から約15~20分
バス:阪神「御影」駅、JR「六甲道」駅、阪急「六甲」駅より
神戸市バス16系統六甲ケーブル下行き乗車「神大国際文化学部前」下車

※アクセスマップ
http://www.kobe-u.ac.jp/info/access/rokko/kokusaibunka.htm#themap


報告者:窪田 幸子(神戸大学国際文化学部・教授)

タイトル:アボリジニ・アーティストの誕生

要旨:オーストラリアの先住民であるアボリジニの社会的経験は、20世紀に大きく変転した。1788年に始まったイギリスによる入植以来、アボリジニは社会の周縁部におかれ、その権利は、長く省みられることはなった。それが1960年代から、しだいに平等な扱いに変化し、オーストラリアの国民として措置がとられるようになってゆく。そのようなアボリジニのオーストラリア国家における位置の変化は、彼らの製作する美術工芸品についての評価と扱いの変化に象徴されているといえる。
 20世紀のはじめに、入植者たちによって「工芸品」として見出された彼らの絵画は、1960年代から1970年代に始まる政府の介入により、みやげ物として流通市場に乗ることになった。1980年代になると、オーストラリアが新しいアイデンティティを模索する中で、しだいに美術として、国家的アイデンティティの一部としてあつかわれるようになってゆく。そしてさらに、1990年代、アボリジニの作品は国際的な注目をあびるようになり、その値段は高騰し、一部のアボリジニは、国際的なアーティストとなった。つまり、アボリジニの絵画は、20世紀後半に大きく変転し、グローバル化したのだといえるだろう。しかし、実際にはアボリジニの絵画をめぐってどのようなことが起きてきたのであろうか。誰が、変化を推進したのであり、アボリジニはそれにどのように対応したのであろうか。

以上

2010年6月3日木曜日

20100619@日本大学三崎町キャンパス

1.第198回 月例研究会のお知らせ

 第198回の月例研究会では、白山映子さんが、明治初期に来日したレディ・トラベラー、マリアンヌ・ノースの回想録 Recollections of a Happy Life や彼女が描いた油絵に記録された当時の日本社会の姿と、レディ・トラベラーを生んだヴィクトリア朝の女性のあり方などを考察した成果を報告します。これまでまったく取り上げられてこなかったテーマですので、大変興味深い報告になると思います。

 メディア史研究会はまったく自由な研究会ですので、会員以外の方でも、もし報告内容にご関心があれば、どうぞ気楽にご参加下さい。

【第198回月例研究会】
主 題:「Marianne North の見た日本-回想録 Recollections of a Happy Life を素材として-」
発表者:白山映子(東京大学大学院教育学研究科学校教育高度化専攻博士課程)
日 時:2010年6月19日(土)14:00~
会 場:日本大学三崎町キャンパス 法学部6号館1階 第6会議室
    (6号館入口を入ってすぐ左手の会議室)

*HPの地図 http://www.law.nihon-u.ac.jp/access/index.html
 JR総武線・中央線「水道橋」駅下車 徒歩3~4分
 都営地下鉄三田線「水道橋」駅下車 徒歩3~4分
 都営地下鉄新宿線・三田線、東京メトロ半蔵門線「神保町」駅下車 徒歩5分

[報告の概要]
 明治初期に来日したレディ・トラベラーとしてはイザベラ・バードの知名度が高い。バードについては、Unbeaten Track in Japan をはじめとして翻訳及び研究書は蓄積されている。しかし、同時期に来日し見聞録を残しているマリアンヌ・ノースに関しては、井野瀬久美惠による『女たちの大英帝国』(講談社現代新書)及び『興亡の世界史』(第16巻、講談社)での指摘を除いては、管見の限りでは日本において系統的な研究はなされてこなかった。日本滞在中の記録や絵画などを素材として、ノースが目の当たりにした日本の姿、日本との関わりを考察することにしたい。マリアンヌ・ノースは、19世紀イギリス文化の重要な美術家のひとりとして100年以上にわたって高い評価を得てきた。ノースの回想録 Recollections of a Happy Life、Some Further Recollections of a Happy Life には彼女の生涯と旅先の記録が綴られている。ノースはイザベラ・バードと同様に、訪れた地域の建物、風景、とりわけ植物を油絵に託した。絵と自伝のどちらが欠けてもノース人生を語ることはできないと思われる。レディ・トラベラーを生んだ社会、ヴィクトリア朝の女性のあり方、理想像、チャールズ・ダーウィン、プラント・ハンターなどとの関連を含め、描いた絵についての考察も行いたい。